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Pinak, M.
JAERI-Research 2002-016, 31 Pages, 2002/09
突然変異を誘発するDNA酸化損傷 である8-oxoGについて、損傷DNAの単独存在下、及びヒト修復酵素オキソグアニングリコシレース1 (hOGG1)との共存下で分子動力学的シミュレーションを行い、DNA分子の構造変化とDNA-酵素複合体の形成に関わる動力学的過程の検討を行った。シミュレーションには、中心位に8-oxoG分子を挿入したB型DNAヌクレオチド鎖を用いた。DNAのみのシミュレーションでは、水素結合の切断によって部分的に構造が破壊されたB型DNAが観察され、8-oxoG挿入位から1塩基対分離れた相補鎖側のアデニンがDNA二重鎖からフリップアウトしていた。DNAと修復酵素hOGG1共存下のシミュレーションでは、分子動力学的シミュレーション開始後500psでDNA-酵素複合体が形成され、シミュレーションが終了する1ns後まで安定していた。アルギニン313のN末端は、8-oxoGを持つヌクレオチドのリン酸ジエステル結合に近接し、酵素のアミノ酸とDNA損傷との化学反応を可能にしている。8-oxoGの5'位のリン酸ジエステル結合は、アルギニン313のN末端に近接した位置に移動していた。さらに、DNAと酵素の近接箇所では水分子を介した水素結合が形成され、複合体の安定性を高めていた。
末武 雅晴
JAERI-M 94-070, 97 Pages, 1994/03
水溶液中の4つの核酸塩基とアスコルビン酸に対するシステアミンとグルタチオンの放射線防護特性を測定した。シトシンとアデニンの系は約3~6倍の濃度のシステアミンによって防護、修復される。シトシンとアデニンのアミノ基がそれぞれの系の放射線防護に重要な役割を果している。チミンの系はシステアミン濃度をいくら増加しても飽和する放射線防護特性を示した。アスコルビン酸に対するシステアミンの放射線防護特性はグアニンと同様にシステアミン濃度を増加しても飽和する。その放射線防護効果は小さい。システアミンと比較してグルタチオンの放射線防護効果は少なく、低線量照射ではグルタチオン濃度を増加すると、かえってその効果が少なくなる負の防護特性を示す。種々の抗酸化剤を含む水溶液中のアスコルビン酸の自動酸化特性を測定し、解析を試みてある。